はじめに
「EIDBO」という言葉を聞いたことはありますか？
これは Emotion → Intention → Deployment → Behavior → Outcome の5つの流れで、人の感情から行動、そして成果に至るプロセスを体系化した構造モデルです。
マーケティング、文章術、UX設計、教育、さらには日常生活まで、幅広い分野で活用できます。
EIDBOの強みは、「感情の発火」から「成果の定義」までを一貫して設計できること。
これにより、行動が自然に生まれ、成果の再現性が高まります。
EIDBOとは何か
Emotion（感情）
すべての行動は感情から始まります。
「欲しい」「知りたい」「不安だ」「嬉しい」など、最初の動機は感情です。
EIDBOでは、この感情の発火点を正確に捉えることが第一歩となります。
感情を無視して行動を促そうとしても、人は動きません。逆に、強い感情を引き出せば、小さなきっかけで行動に繋がります。
例：雨の日に傘を持たずに外に出た瞬間の「濡れたくない！」という感情。これが次の行動を決めます。
Intention（意図）
感情が動くと、「何をしたいか」という意図が生まれます。
たとえば「不安だから解決策を探す」「欲しいから比較検討する」「楽しそうだから体験してみる」などです。
意図は感情よりも一段階具体的で、行動への道筋を示します。
意図を明確化することで、後の行動がぶれにくくなります。
ここで意図が曖昧なままだと、途中で迷いや無駄な選択が入り、成果にたどり着けません。
Deployment（展開）
意図を具体的な行動計画やアクションプランに落とし込みます。
文章設計では「提案」「行動導線の設計」、サービスでは「導入ステップ」に相当します。
ここで重要なのは、行動までの摩擦を減らすこと。
例えば、会員登録フォームの入力項目を最小限にする、購入ボタンをわかりやすく配置するなど、小さな改善が成果を大きく左右します。
Behavior（行動）
計画が実際の行動に変わる段階です。
購買、登録、クリック、問い合わせ、申し込み、相談など、結果に直結する動作です。
ここまで来ても行動が発生しない場合は、前段階（感情・意図・展開）のいずれかが不足しています。
Outcome（成果）
行動の先にある成果や体験です。
「問題が解決した」「満足感を得た」「再利用する気持ちになった」などが該当します。
成果は次の感情を生み、新しい行動サイクルにつながります。
つまり、Outcomeはゴールであると同時に、次のスタート地点でもあるのです。
EIDBOの流れと関係性
EIDBOの5つの要素は直線的に進むだけでなく、ループ構造を持っています。
成果（Outcome）が新たな感情（Emotion）を生み、次の行動サイクルへと循環します。
この循環を意識して設計すると、単発で終わらない関係やリピート行動が自然に生まれます。
実践事例
1. マーケティングでの活用
- Emotion：商品の魅力で好奇心を喚起
- Intention：購入意欲を高める情報提供
- Deployment：購入ページへのスムーズな導線設計
- Behavior：カートに入れて購入
- Outcome：商品到着後の満足・リピート注文
2. 教育・学習分野
- Emotion：試験に受かりたいという強い願望
- Intention：合格に必要な学習範囲を把握
- Deployment：毎日の学習スケジュール作成
- Behavior：計画通りの学習実行
- Outcome：合格、または成績向上による自己効力感の上昇
3. 人間関係・恋愛
- Emotion：相手に好意を持つ
- Intention：もっと親しくなりたい
- Deployment：会話のきっかけや共通の趣味を探す
- Behavior：連絡、デート、共通活動
- Outcome：関係性の深化、信頼の獲得
図解：EIDBOモデル
図がなくてもイメージできるよう、各ステップは色分けやアイコンで示すと効果的です。
EIDBOを活用するためのポイント
- 感情のトリガーを明確にする
- 何がきっかけで動くかを具体化
- 意図を測定可能にする
- 定性的な意図でも、行動指標に変換
- 展開（Deployment）で摩擦を最小化
- 行動前の壁を徹底的に減らす
- 行動後の成果を設計に組み込む
- 次のループへの接続を意識
- 定期的にサイクルを分析・改善
- ボトルネックがどこかを可視化
まとめ
EIDBOは、感情から成果までを一気通貫でデザインできる強力なモデルです。
単なる理論に留まらず、日常生活、仕事、教育など、あらゆる場面に応用可能です。
一度設計を作ってしまえば、成果の再現性を高めるフレームワークとして長期的に機能します。
💡 リンク
- 「感情から行動へ導く文章構造」
